これを、アートマインドセットに対し、ビジネス・アートマインドセット(BAM)と呼びます。
創り手の熱狂と原体験
BAMでは、まずメーカーである創り手の熱狂ありきで、結果、ユーザーも「熱狂」します。アートもビジネスも、何より問われるのは、創り手の「熱狂」があるか? です。
企業の「熱狂」とは、価値創造の理由となります。イノベーティブなプロダクトをめざす場合は、特に強く意識したいところです。単なる収益目標や他社の模倣から始まる事業には、本質的な熱量は宿りません。
プロダクトを生み出すには、まず創り手が「なぜこのビジネスをしたいのか」という原体験を見つめ直す必要があります。その出発点は偶然の出会いかもしれませんし、過去に一度通り過ぎた何かかもしれません。
原体験を見つめ直すには、問題意識を持つことが不可欠です。従来のビジネスは「問題解決」を目的としてきましたが、技術が急速に進化する今、問題そのものが曖昧になっています。
誰も問題を示してくれない時代においては、まだ誰も疑問にすら思っていない領域に、自ら問いを立てる「問題提起」のスタンスが求められるのです。
それを突き詰めるうえで、前回の記事でも述べた「内的必然性」は、きわめて有効な概念です。
なぜそのビジネスをしようと思ったのかという「個人的必然性」、この時代だからこそのものが問われる「時代的必然性」、さらにはこれまでのビジネスの中でどのような位置づけになるのかを考える「系譜的必然性」の3つの内的必然性です。
「どうしても私自身がこれを世に出したい」「この時代にこそ意味を持つのだ」「これまでの社会の価値体系を踏まえたうえで、このように変えるのだ」という3つが熱狂の指標となります。
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