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〈電撃売却から4年〉ハンズが"32年ぶり最高益"を達成した裏側…M&Aで勢いづく「親会社・カインズ」が狙う小売り企業の進化形

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2022年に東急不動産ホールディングスからカインズに売却されたハンズ。カインズにとっては初の大型買収だった(左写真:編集部撮影、右写真:風間仁一郎撮影)

創業から半世紀を迎えた雑貨チェーンが、ひそかな復活を遂げている。

東急不動産ホールディングス(HD)が、傘下のハンズ(旧東急ハンズ)をホームセンター(HC)国内最大手のカインズに売却したのは2022年3月のこと。ECモールの拡大やファンの高齢化、コロナ禍が重なり、ハンズは深刻な業績不振に陥っていた。

それから4年。カインズは、チェーンオペレーションの仕組みを共有するなどしてハンズの構造改革を進めた。買収前に複数の店舗を閉めた影響もあり、ハンズの25年2月期の売上高はコロナ前と比べて7割程度の水準にとどまるものの、利益面においては経常利益ベースで32年ぶりの最高益を更新。インバウンド需要なども取り込み、26年2月期も「前期実績を超えていきそう」(カインズの高家正行社長)だという。

小売りの基本が抜け落ちていた

1976年、東急不動産HDが渋谷に保有する土地の活用策として、自ら小売り事業に乗り出したことをきっかけに産声を上げたハンズ。現在は都心部を中心に98店(海外を含む)を展開する。

不動産グループが展開する小売店として、人を呼び込むユニークな店舗であり続けることを期待された一方、多店舗化していく中でも小売業の基本的なノウハウが抜け落ち、現場の非効率性が目立っていた。カインズによる買収直前までの売上高は900億円台で頭打ち状態にあり、20年度には大幅な営業赤字に沈んでいた。

創業以来、ハンズの特徴とされてきたのが個店主義だ。店長らが商品の仕入れにおいて広い裁量を持ち、その店独自の品ぞろえや売り場づくりを担ってきた。だが、各店舗が仕入れた独自商品を売り切れずに、長期間にわたって在庫が滞留するといった状態が続発。親会社の東急不動産HDも、ハンズを成長軌道に戻すための小売りのノウハウやリソースを持ち合わせていなかった。

カインズは買収後、ハンズの課題点を一気に洗い出していった。例えばカインズでは、店舗で各業務にかける標準作業時間を設定し、普段から本部が集中的に管理している。作業時間が長い店舗があればすぐに特定し、改善策を講じる。店舗ごとのばらつきが大きかったハンズでは、同様の仕組みを導入して作業時間を均一にするなど、課題点を特定しながら現場作業の見直しを進めた。

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