脳外科医が見落としていた…転院で発覚した「脳動脈瘤」の手術を受けた結果
いずれも激しい頭痛や吐き気など自覚症状が出てからだと、1分1秒を争う事態に陥るが、脳ドックで事前に血管の状態を把握できていれば、手術によって一定程度予防できる。
転院を機に見つかった脳動脈瘤
筆者は2014年秋、神宮球場でプロ野球を観戦している最中に、ドリンクカップをとりおとした。なぜかそれだけの理由で、一度も受けたことがなかった脳ドックを受けてみようと思い立った。頭痛やめまい、吐き気といった自覚症状は一切ない中、ほんの思いつきで受診を決めたにすぎなかった。
果たして高さ1ミリ強のごく小さな脳動脈瘤が見つかったが、破裂の確率は低く、ドリンクカップをとりおとしたこととはまったく無関係という診断だった。
以来、年に1度のペースで頭部MRI検査を受けるも、状況に変化はなく、3年もすると筆者の中では吹き出もの程度の感覚になっていた。
ところが今から約1年半前、通院先を変えたことが幸いし、もう一つ別の大型脳動脈瘤が見つかった。それまで8年間筆者を診ていた、脳卒中専門病院の脳外科医が見落としていたのである。
見つけてくれた転院先の担当医師の紹介で、カテーテルを使う脳血管内治療で国内有数の実績を持つ、横浜市立市民病院の増尾修医師の執刀で予防手術を受けることもできた。
もしも定期的にMRI検査を受けていなかったら。もし通院先を変えていなかったら。予防手術どころか大型動脈瘤の存在にも気づかないままだっただろう。未破裂の脳動脈瘤は、自覚症状がないまま静かに巨大化するということを身をもって知った筆者は、定期的な脳ドック受診の重要性を痛感した。
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