年間600万人も利用!「映画ランド」運営の裏側 《日本映画界への思いをジェイソン・ウォンCEOに聞く》
――「映画ランド」が軌道に乗ったところで、2022年に別会社の「mov」を立ち上げたわけですが、この「mov」というのは「映画ランド」に比べてどのような位置づけの会社なのでしょうか?
簡単に言うと「映画ランド」は国内の事業を担う国内向けの会社で、「mov」は日本の映像コンテンツを世界に流動させることを目的に生み出された会社です。われわれも「映画ランド」を通じて、映画館の売上アップとコストダウンという面では少しは貢献できたとは思っているのですが、映画業界全体で考えると正直まだまだ貢献できたとは思っていない。
日本の映画業界全体の年間興収が2000億円前後で推移している中で、そこからいきなり4000億円、5000億円にいくことはないと思います。日本国内はできることが限られるので、グローバルで興収をあげられないかと思ったのです。

日本のコンテンツはまず国内に向けて、というところからはじまるので、海外に向けてセールスするという意識は海外と比べてまだ高くないと思います。しかしハリウッドの映画だと、アメリカでどれくらい売り上げる、アジアとかヨーロッパではどれくらい売り上げる、といったことを想定してつくられています。香港や韓国の映画も海外の市場を想定しています。
ここ数年では東宝さんや東映アニメーションさんが海外事業のために現地法人を設立する、といった動きが増えてきているのですが、日本の多くの映画会社では、東宝さんや東映アニメーションさんのような動きをするのはなかなか難しい。やはりクリエーターやタレントも含めて、日本のコンテンツがもっと海外で活躍しやすい環境が必要だと思いました。
字幕は自社でAIモデルを開発
――そのための環境づくりとは?
まずは字幕ですね。もともとITをずっとやってきたということもあるので、自社でAIモデルを開発しています。映画やドラマなど物語性がある映像コンテンツに関しては、今ではYouTubeよりも精度は高いと思います。
YouTubeの字幕1つひとつの音声を訳しているため、単語ごとにバラバラになり、ストーリーとしてつながらなくなることがあるんですが、movは違います。あらかじめ、音声以外のあらすじや脚本をインプットしているため、AIがストーリーとして認識して翻訳しています。
ですから“コジマ”という人が出てきたとして、それが“小島”なのか“小嶋”なのか“児島”なのかということも混乱せずに観ることができます。だからコンテンツさえ預けていただければ、字幕のコストはほとんどうちがカバーします。そうすれば翻訳のコストを削減することができます。
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