「パズドラ」ガンホー、"社長解任回避"でも残る宿題 もの言う株主の要求で露呈した「社長依存」の現実…頭打ちのスマホゲーム業界が抱えるジレンマ

「社長が『一発屋』に過ぎなかったため、ガンホーも道連れで『一発屋』との評価が定着した」
9月24日、スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)を手がけるガンホー・オンライン・エンターテイメントが臨時株主総会を東京都内のホテルで開いた。同社株を約8.5%保有するアクティビストのストラテジックキャピタル(SC)は、森下一喜社長の解任を求める株主提案を提出していたが、否決された。
SCはガンホーの経営体制を冒頭のように辛辣な言葉で批判し、パズドラに続くヒット作を生み出せていないことによる業績や株価の低迷と、森下社長に依存する会社のガバナンス問題を指摘してきた。
森下社長は2002年に会社の主力事業をゲームへ転換した際に経営を主導した、実質的な創業者だ。2012年のリリース後に大ヒットを記録したパズドラの開発総指揮を今なお務め、新規のゲーム開発においても、企画・開発・監修というすべての工程に携わる。
業績・株価の動きに逆行する社長報酬
ガンホーの2024年度の営業利益は174億円と、ピークを記録した2014年度実績(942億円)の2割弱に落ち込んでいる。2013年に約1.5兆円に達した時価総額は、足元で1900億円ほどだ。
こうした業績と株価の動きに逆行して森下社長の報酬が増えていることなどを問題視したSCは、今年3月の定時株主総会で、代表取締役の基本報酬を変更する際はその理由を開示することや、配当による大規模還元などを株主提案していた。
定時株主総会における株主提案はすべて否決となったものの、期末配当の金額と自己株式の消却を取締役会ではなく株主総会の決議をもって決めることを求めた2つの議案への賛成比率は4割を超えるなど、一定の支持を集める結果となった(両議案は定款変更のため、可決には出席株主の3分の2の賛成が必要)。
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