社長の給料が高すぎる?パズドラのガンホー、アクティビストが一石投じた「報酬ガバナンス」の難題 株主提案は否決されるも一定の支持

「社長としてというよりも、1人のクリエーターとしての責任を感じています」
3月28日、スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)を手がけるガンホー・オンライン・エンターテイメントの定時株主総会が東京都内のホテルで開かれた。約5%の株式を保有しているアクティビスト(物言う株主)、ストラテジックキャピタル(SC)が出していた、大規模な株主還元や報酬制度の見直しなどを求める株主提案はすべて否決された。
ただ、ガンホーが4月2日に提出した臨時報告書からは、SCの提案が一定の賛同を集めたことがわかる。
SCが出した7つの議案のうち、期末配当の金額と自己株式の消却について株主総会の決議を求めた2つの議案の賛成比率は4割を超えた(定款変更のため、可決には出席株主の3分の2の賛成が必要)。また、出席株主の過半数の賛成を可決条件とする、代表取締役の固定報酬を変更した場合の理由開示などを求めた議案は38%の賛成を集めた。
最大の論点は社長の“高額報酬”
「『13年』かけてヒット作ゼロ」「ゲーム会社を言い訳にした怠慢経営」――。
ガンホーの経営に対する辛辣な批判で話題となった今回の株主提案。SCがとくに問題視したのが、森下一喜社長が受け取る役員報酬だった。
2012年にリリースしたパズドラを大ヒットさせたガンホーだが、続く大ヒットタイトルを生み出せず、足元の営業利益はピークを記録した2014年12月期実績の2割程度にまで落ち込んでいる。SCが公開した総会要旨によると、10年間で時価総額と営業利益が5分の1になったことに関する考えを問われた森下社長は、冒頭のように陳謝したという。

企業ガバナンスに詳しい遠藤元一弁護士によると、報酬ガバナンスには、「『この決め方であれば企業の成長や価値向上に寄与できる』と第三者が納得できる透明性、公正さ、説明責任が求められる」という。
では、ガンホーの場合はどうか。
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