
世界で警戒されている"近視問題"が、日本では取り沙汰されない理由とは?(中室氏<右>の写真は本人提供、窪田氏の写真は撮影:梅谷 秀司)
『「学力」の経済学』『科学的根拠(エビデンス)で子育て』の著者であり、教育経済学の視点からデータやエビデンスに基づいた子育てを提唱する中室牧子氏。
『近視は病気です』の著者で、世界的に問題になっている子供の近視対策の啓蒙活動を行う眼科医の窪田良氏。
教育と医療で分野の違いはあれど、実は2人の主張にはいくつもの共通点がある。対談企画の第2回は、昨年、アメリカの全米科学アカデミーから「近視は疾患として認定し、国家的に対策を打っていかなければならない」と提言が出た、近視の問題について語り合う。
エビデンスが軽視されがちな教育分野
窪田:中室先生はご著書『科学的根拠(エビデンス)で子育て』の中で、エビデンスを重視した教育の必要性を説いていらっしゃいます。そもそも金融業界にいた中室先生が、なぜ教育分野に興味を持たれたのですか?
中室:私の専門は経済学で、大学では小泉政権で総務大臣や経済財政政策担当大臣を歴任された竹中平蔵先生に師事していました。そこで教わったのは、経済学の学知を使って政策に貢献することの大切さです。幸い、卒業後に勤務した日本銀行は、経済学と政策がクロスオーバーするような場所でした。データやエビデンスを用いて政策決定することの重要さを改めて理解するようになりました。
窪田:それが中室先生のバックグラウンドになっているんですね。
中室:そうなんです。その後、アメリカに留学して、コロンビア大学で教育経済学を専門にしているフランシスコ・リベラ-バティス教授にお会いしたことで教育経済学を本格的に学び始めました。
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