「スマホ断ちした高校生たち」に実際に起きたこと ニューヨークで始まった「ラッダイト運動」

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ガラケーを持つ子ども
スマホの代わりにガラケーを持ち歩くようになったニューヨークの子たち(写真:Scott Rossi/The New York Times)

ひんやりとした快晴の日曜日。ニューヨーク・ブルックリンの中央図書館前の階段には、ティーンエイジャーの集団ができていた。ソーシャルメディアやテクノロジーの束縛から解放されたライフスタイルを広めようとしている高校生のグループ「ラッダイト・クラブ」が毎週の会合を始めるためだ。

そこからプロスペクト公園に向かった20人ほどの高校生たちは、道すがらiPhone(アイフォーン)を目の届きにくいところにしまい込んだ。中でも気合の入ったメンバーたちがしまい込んでいたのは、アイフォーンではなく、ステッカーやマニキュアでデコレーションしたガラケーだ。

毎週日曜日に集まる仲間たち

高校生たちは丘を進み、公園の中でも人けの少ない、いつもの場所にやってきた。そこにいたオディール・ゼクスター=カイザーは、エドワード・R・マロー高校の最高学年。左右ちぐはぐのウールのソックスにドクターマーチンのブーツを履いて、木の葉をかき分けつつ歩いてきた。

「顔を出さないと白い目で見られる」とオディール。「雨でも晴れでも、たとえ雪が降ったとしても、毎週日曜日にはここに集まることになっているから。私たちは連絡を取り合っているわけじゃないので、ここに来ないといけないんです」。

クラブのメンバーたちは丸太を集めて円をつくり、そこに座って静寂のバブルの中へと入っていった。

スケッチブックに何かを描いているメンバーもいれば、水彩画キットで色を付けているメンバーもいた。目を閉じて風の音を聞いているメンバーも1人。多くは熱心に読書している。

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