「スマホ断ちした高校生たち」に実際に起きたこと ニューヨークで始まった「ラッダイト運動」

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最終的には、インスタグラムの完璧な自撮りなんて、もう1枚も見たくないというほどに疲れ切ってしまい、アプリを消したそうだ。

「でも、それだけでは足りなかった。それで、ケータイを箱の中にしまったの」

ティーンのローガンは初めて、アイフォーンなしでニューヨークの暮らしを体験することになった。図書館で小説を借りて、公園で1人で読んだ。地下鉄で目にしたグラフィティ(落書き)に憧れるようになり、知り合いになった10代の若者たちからクイーンズの操車場でスプレーペイントのやり方を教わった。

夜中にスマホを眺めながら寝落ちするようなことはなくなり、目覚まし時計を使わなくても朝7時に起きられるようになった。後に「ラッダイト宣言」と題した文章で述べたように、アイフォーンをゴワナス運河に投げ捨てる妄想を抱いたこともある。

ラッダイト・クラブを立ち上げたローガン(写真:Scott Rossi/The New York Times)

喜んでいた両親が逆に焦った

ローガンの変わりように両親は喜んだ。とくに、夕食時にきちんと帰宅してはその日の散策について話をしてくれることがうれしかったという。ただその一方で、金曜日の夜にスマホで娘の様子を確認できないことが悩みとなった。パリの夏季留学プログラムに参加するときに持っていくように頼んでいたスマホを娘がわざと紛失すると、両親は取り乱し、せめてガラケーだけでも持つようにと強く求めるようになった。

「今でもまだケータイをまったく持たない生活に憧れてる」とローガンは言う。「うちの親はケータイに依存しすぎ。ツイッターを始めたせいで、ママがボロボロになるのを見たこともあるし。でも、それでもいいのかも。だって、親に対してちょっとだけ優越感に浸れるから」。

ラッダイト・クラブのメンバーは現在25人。毎週火曜日にマロー高校で集会を開いている。まだアイフォーンを手放せない生徒も受け入れており、1時間の集会の間、アイフォーンを無視するという挑戦をしてもらっている(アイフォーンを見れば、本気のメンバーからひんしゅくを買うことになる)。日曜日に公園で行われる集会では、天気がいい日にはハンモックを吊って読書をすることも多い。

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