「スマホ断ちした高校生たち」に実際に起きたこと ニューヨークで始まった「ラッダイト運動」

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ローガンがアーモンドクロワッサンを頬張りながらクラブの由来について話していると、新メンバーのジュリアンが立ち寄った。彼はまだガラケーに移行できていないが、すでにこのクラブのメッセージから恩恵を受けていると話した。そして、ある生徒がクラブについて行った批判を持ち出して、ローガンをからかった。

「スマホ断ち」は恵まれた子どもの戯言?

「ある生徒が、このクラブは階級差別っぽいって言ったんだ。僕はクラブのおかげでケータイから距離を取ることができたから、いいクラブだと思ってるけど、彼らの言いたいことも分かる。テクノロジーがないと社会に参加できない人もいるからね。ケータイが必要な人もいる」とジュリアン。

これに対するローガンの反応は、「クラブに反感を持つ人もいる」というものだった。「聞いている話だと、私たちは裕福な家庭の子どもたちで、すべての人にケータイを捨てさせようとするのは特権的な考え方だ、っていう批判がある」。

ジュリアンが立ち去ると、ローガンは自分がこの問題で苦労したこと、そしてこの点についてはクラブのメンバーの間でも白熱した議論があったことを認めた。

「階級差別的だという意見を聞いて、本当にがっかりした。クラブに別れを告げようかと思ったほど。でも、顧問の先生に話してみたら、革命の多くはチェ・ゲバラのように恵まれた家庭出身の人が始めたと教えてくれたの」とローガン。「私たちは、誰もがガラケーに変えることを期待しているわけじゃない。メンタルやスマホの使いすぎの問題に目を向けているだけ」。

ローガンは家庭教師の授業時間が近づいていたため、地下鉄の駅に向かった。高校最終学年の終わりを目前に控え、大人になることのプレッシャーが大きくなる中、ローガンは高校を卒業することが自身のラッダイト運動にどのような意味を持つことになるのかといったことにも考えをめぐらせている。

「人生で今しかできないことなら、大切にしたい。でも、これで終わりにはしたくない」とローガンは言った。

(執筆:Alex Vadukul記者)
(C)2023 The New York Times

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