そしてこの言葉を裏付けるように、アメリカ商務省が電子機器を相互関税から除外するとの情報が流れたが、ほどなくしてトランプ大統領本人がSNSでこの噂を否定。それどころかさらに半導体への課税について説明をすると予告した。
実はアメリカと台湾双方ではすでにオンライン会議が進められていた。しかし誰もトランプ大統領の真意を把握できずにいたという。
しかし情勢が毎日変化しても、鄧振中のトランプ政策への観察は止むことはない。また、自身の第1期トランプ政権チームとの交渉経験とも突き合わせ、トランプ大統領の真意をいくつか見出していたのだった。
アメリカ製造業の栄光を取り戻す
まず、トランプ大統領は意図的に1948年から約80年実施されている「関税と貿易に関する一般協定」(GATT)、WTO(世界貿易機関)による国際貿易体制の再構築と、主要競争相手である中国に対抗することが本心と説く。
「最恵国待遇、交渉結果に基づく関税、内国民待遇の3つの原則は言わば国際貿易体制における3本柱。しかしこれらはすべてトランプ大統領によって壊された」
鄧振中は現在の状況をこのように語る。
アメリカ大統領に返り咲いた後、ただちに主要ライバルの中国を相手に関税を実施。昨今の報復的関税措置によってアメリカにおける中国製品の税率は145%に激増した。有識者の中には、中国政府は将来、補助金などでアメリカに輸出できない低価格帯の製品をその他の市場に展開するのではと危惧している。一方、仕向け地となる各国も国内産業の保護から中国に対しブロックを展開。結果、世界貿易体制をがらりと変えてしまうという。
このような状況の中、鄧振中は、アメリカは同盟国や友好国に自分に続くよう迫り、中国製品に関税をかけて輸出先を断つよう求める。そしてアメリカを中心とする貿易圏を再構築すると考えている。
2025年2月のアメリカとメキシコの貿易交渉では、アメリカはメキシコに中国製品に関税を課すよう迫ったとの噂が走った。アメリカは関税措置を交換条件にしたと言われている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら