タイで社会現象になり、アジア各国で大ヒットを記録 遺産目当ての青年が「祖母との暮らし」で得たものとは? 『おばあちゃんと僕の約束』
本作の主人公は、大学を中退してゲーム実況で金持ちになることを夢見る中国系タイ人の青年エム。彼はスーパーで働いて家計を支える母シウと2人で暮らしているが、視聴者は1日に数人。将来の展望は描けずにいた。そんなある日、父方の祖父を介護していた従妹ムイが、祖父の遺言によって豪邸を相続。今はその家を売って、気ままなホテル暮らしをしていることを知り、うらやましく思う。
そんな彼には、ひとりで暮らす祖母のメンジュがいたが、中国の先祖祭である清明節でも、信心深い祖母に対して、現代っ子のエムはどこか身が入らない。そんなメンジュの願いは家族のために大きな墓地を手に入れたいということだったが、エムはそれをお金の無駄だと考えていた。それほどまでにエムは祖母のことを、そして彼女の心の内を知らなかった。

だがその墓参りの帰りに転倒してしまったメンジュは、病院で診察を受けた結果、ステージ4のガンに冒されていることが判明する。そこでエムは祖母の遺産を相続させてもらうためにも、彼女の信頼を得るべく介護人として一緒に暮らすことを思い立つ。だがそうした打算的な決意とは裏腹に、厳格で気難しいメンジュと、気ままに生きてきたエムとは、その価値観や生活のリズムなどがまったく違い、戸惑うことばかりだった。
遺産目当てだったが、祖母と触れて心境に変化が
エムの母親シウは、仕事のシフトを変えて母親に付き添おうとするが、メンジュもシウも互いに気を使い過ぎて、お互いを傷つけてしまう。一方、投資で豊かな生活を送るメンジュの長男キアンだが、妻や娘の用事を優先してメンジュの家にはあまり寄りつかない。それでも長男の責任を果たそうと同居を提案したキアンに、街を離れたくないとメンジュ。末っ子のソイは定職に就かず借金を抱えており、メンジュの家に忍び込んではこっそりお金を盗んでいく始末だった。
そんな利己的な家族に寂しさや孤独を覚えながらも、それでも家族のことを思うメンジュ。そんな姿に触れるうちに、エムの気持ちにも変化が訪れる。一方のメンジュもそんなエムの変化に次第に心を開いていく。そうやって絆を深め合うふたりだったが――。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら