「臓器提供したくない妻と、そんな妻に財産を残したくない夫」困難を極める”ドナー候補の家族”の意思確認の実際

臓器提供をめぐり、離婚に至ることもある(写真:polkadot/PIXTA)
治らぬ病を抱え、臓器移植の道を探る患者は多い。しかし移植用臓器は世界的に不足し、殊に日本ではまったく足りない。
例えば腎臓は国内で希望しても15年待ち。その間に多くの患者が死に至る。
いきおい患者は海外渡航移植の斡旋業者に接触。が、それは世界中ほぼ全面的禁止の臓器売買である確率がきわめて高い。手術は衛生状態さえ保証されず杜撰で、結果は一か八か。
貧しい国々の臓器を求め彷徨う患者と、数千万円を要求する業者。背後には国際組織。
そうした臓器移植のリアルを克明に記した新著『臓器ブローカー すがる患者をむさぼり喰う業者たち』より、一部を抜粋・編集しお届けする。
移植手術の相談に来た夫婦
臓器移植法が施行される前、移植医療の黎明期では、移植手術は医療と患者側の合意の上で進められた。医師が移植についての説明をし、レシピエント、ドナーの意思確認も行っていた。
移植手術を受けたいという夫婦が相談にやってくる。夫が慢性腎不全で人工透析治療を受けていた。ドナーになるのは妻だ。
「妻もドナーになるのに同意している。移植をしてほしい」夫が来院の意図を告げた。
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