「臓器提供したくない妻と、そんな妻に財産を残したくない夫」困難を極める”ドナー候補の家族”の意思確認の実際

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妻も夫に頷きながら話を聞いていて、すでに夫婦の間で話し合いが行われ、妻も腎臓提供に同意していると思われた。

「白血球の血液型」HLAの適合

医師が移植に向けてHLA(HumanLeukocyteAntigen=ヒト白血球抗原)検査、血液型などいくつかの検査について説明した。HLAが不適合なら移植はできない。

1954年、フランスの免疫学者ジャン・ドセーによって、HLAは「白血球の血液型」として発見された。HLAは白血球だけにあるのではなく、様々な細胞に存在し、組織適合性抗原として働いていることがわかった。

HLAが遺伝子の第6染色体にあることもわかり、このHLAが人間の免疫システムをつかさどっている。HLAは両親からその半分ずつを受け継ぐため、親子や兄弟の間でも一致する確率は低いが、一卵性双生児同士の場合には、このHLAがすべて一致しているために、拒絶反応は起きないことが証明されている。

非血縁者間ではHLAが一致する確率は数万分の1程度と言われている。HLAが合致しなければ、移植された臓器はレシピエントの体内で異物と認識され免疫システムが攻撃を開始する。

このHLAの適合数がなるべく多い者同士間での移植なら、拒絶反応も最小限に食い止めることが可能になり、当然、移植の成功率は高くなる。とはいえ一卵性双生児同士の移植でもない限り、拒絶反応は必ず現れる。

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