「どうしてそんな意地悪をするの!」婚約指輪に隠された女性客の闇…苦情・クレーム対応アドバイザーが見た一部始終【前編】
「指輪のサイズ調整ができあがりました。ご都合のよいときにご来店ください」
「近日中に行きます」
とのお返事です。おめでたい商品ですから、売り場としてはすぐに喜んでご来店いただけると思っていました。しかし、Aさんはなかなか見えません。そこで、販売担当者は、再度ご来店のご案内をしました。
これに対し、Aさんから売り場のリーダーへ苦情の電話が入ったのです。
「彼がすでに海外に出ており、一緒に取りに行けないことはわかっているでしょう。先日、担当の人にもよく話したじゃないの。なんでできないことを言うの? どうしてそんな意地悪をするのか、説明に来てください」
どうやら「2人で来て」と言われたことに対して、クレームをつけてきたようです。
(もしかして、婚約者とけんかでもしたのか)。私たちは、そうも考えました。
報告を受けた女性の係長が、先方の指定どおり、まずは電話で謝罪をしました。しかし、Aさんは昼間と同じことを延々と話すだけでした。
そこで、訪問して謝罪しようと訪問日時を確認すると、「明日の夜9時にしてください」と、やや常識外ともいえる時間を指定してきたのです。
顧客の詳細を、接客した販売員に聞いてみると、感情の起伏が激しく、女性には敵対的な態度や言葉で接し、男性には普通に話すと言います。
訪問は夜遅いため、女性係長1人では無用心であり、私も付き添いで同伴しました。延々2時間半の会話は、同じことの繰り返しと、自分が勤めている会社の自慢です。
どうやらAさんには、販売業に就いている者に対するさげすんだ見方がしみついているように、感じられました。当方としては失礼を詫(わ)びましたが、その光景は異常でした。
説明は玄関で行いました。説明を受けるAさんは、私たちの訪問と同時に一度部屋に消え、いすを持ち出し、自分だけ腰掛けて話を聞いたのです。この間、私たちは寒い玄関でずっと立ったままでした。
後日ご来店いただくということで、その日の話は、ようやく終えることができました。
再び事件勃発
そして来店予定の日。
売り場では、販売員が緊張してAさんを待っていました。うっかりした対応をすると、どんなことを言われるかわからなかったからです。対応は、売り場の責任者がすることに決めました。でもその日、結局Aさんは見えません。
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