② 相互関税(Reciprocal Tariff)。トランプ政権の関税政策は、グローバル関税と相互関税で構成される。グローバル関税はアメリカの国内製品に対する優遇率を示すものであるが、相互関税は交渉のためのテコとして用いる。相互関税のポイントは「相互的」であり、問題は絶対レベルではなく差にある。つまり、2国間での平均輸入関税の差が問題である。もしアメリカが輸入関税を引き上げることを止めたいのであれば、アメリカに対してそれぞれの国が課している輸入関税を引き下げることで、その差を縮めればよい。輸出工業化を目指して補助金を与える産業政策や自国通貨安へ誘導する通貨政策を通して、アメリカ市場へ洪水のように輸出するのではなく、アメリカに生産基地を構築すべきだ。輸出自主規制の経験を参考にしてほしい(Think VER!)。
③ 中国。トランプ大統領は、第1次政権期に中国とのディールを目指したが、第2次政権では中国との「恒久的かつ正常な貿易関係(Permanent Normal Trade Relations)」の構築をディールの中心に置くことを考えている。グローバル関税でアメリカ産業への優遇率を定め、中国への恒久的な関税で中国とのデカップリングを目指し、相互関税は対中貿易赤字を調整するための手段として用いる。それにより、貿易収支の均衡(Balance of Trade)、相応な負担(Owning Burden)、それから脱中国(China Out)に合意する国々との間で、自由貿易圏を再構築していくことを目指す。
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