将来は絵の勉強がしたい…  《朝ドラ あんぱん》モデルのやなせたかし 「育ての親」からの凄い一言

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やなせが大成することを知っている後世の私たちからすれば、順調に絵の道へと突き進む下地がつくられているように思う。だが、当の本人や周囲は心配でたまらなかったことだろう。

それでも伯父は、やなせに「勉強しろ」と小言を言うこともなく、ただ選択肢だけを与えている。やなせは伯父からこんな言葉をかけられたという。

「たかし、医者の学校に行く気はないか。学費は出すし、病院もおまえにゆずってもいい」

やなせは医師になる気はなかったが、気にかけてもらっていることを改めて実感し、嬉しかったようだ。やなせは伯父からの気遣いあふれる提案を断りながら、自分の本心を明かしている。

「ぼくは、絵の勉強ができる学校に行きたいんです」

子の挑戦を後押しする「親の言葉」

子どもから将来進みたい道を打ち明けられたときに、親がどんな反応をするかは、その後の親子関係に大きく影響する。もちろん、応援したいのはやまやまだが、あまり現実的ではない場合は、軌道修正を試みたくなるのも、また親というものだろう。

心臓外科医から宇宙飛行士へ転身した向井千秋の場合は「アメリカで軽飛行機の免許をとりたい」と周囲に伝えると、皆が心配するなか、母だけはこう言ってくれたという。

「千秋、免許がとれたら私を一番に乗せてね」

千秋の大胆な転身についても「千秋、宇宙へ行ってもいいよ」と後押ししている。不安があっても、子どもの挑戦を止めることなく、相手の意思を尊重する。その大切さを千秋の母は教えてくれているようだ。

また、歯科医の父と音楽家の母の間に生まれたマイルス・デイビスは高校卒業後には家を出て、ニューヨークにあるジュリアード音楽院に進学した。

ミュージシャンになるための一歩を踏み出したかに見えたが、学校の授業は退屈そのもので、マイルスは中退することを決意する。帰省して父にこんな説明をしたという。

「ニューヨークでは何かが起きてるんだ。今、音楽もスタイルも変化していて、仲間と一緒に、オレもそのムーブメントに加わっていきたいんだ。だから、興味のあることを何も教えてくれないジュリアードをやめるってことを伝えに帰ってきたんだ」

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