900万個のおむすびが3週間で売れた!ファミマおむすび「大谷翔平キャンペーン」を成功に導いた緻密な計算式とは?

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しかし、コピーそのものがSNSによって話題化する時代においては、コピーに最大限のプライオリティをおいた方が、狙ったユーザーのリアクションを引き出しやすいのは、想像にかたくはないでしょう。さらには、タレント中心の話題化を回避し「商品中心の話題化」を狙うのであれば、なおのことコピーの重要性は増します。

そこで、まず

「おむすび二刀流、解禁。」

というメインコピーを開発しました。

名作おむすびと、新作おむすびの双方をたてるワーディングとして、大谷選手らしい「二刀流」を採用。「解禁」には、キャンペーンの登場感を野球らしく表現することで、ファミマブランドらしい「ユーモラスで楽しい」イメージを込めました。

おむすびという「カテゴリーワード」がキャンペーンコピーに入っていることで、期間限定商品だけでなく、おむすびというカテゴリそのものにユーザーの意識を向ける構造の言葉となっています。

極力シンプルに

このキャンペーンコピーをベースに、両手でおむすびを持つ大谷選手のビジュアルを開発。背景には、おむすびの断面を大谷選手より大きく配置することで、しずる感を担保するとともに、おむすびを主人公とした構造の絵としました。

逆に、それら以外の要素は極力シンプルに削ぎ落とし、フォント選びも王道のものとしました。

文字間を詰めて、フォントは王道の「筑紫民朝H」を使用しました

ただし、始筆終筆部に筆文字風のディティールを施すなど、細やかな処理を行うことで、シンプルな中にも繊細なクオリティ感を感じられるような工夫を凝らしています。

筆文字風のディティールを施してあります

これらのような大きなディレクションと、細やかなクラフトワークによって、当初の目的であった「本格感」を演出することを狙いました。

続いて、「KVファースト、PR/SNSセカンド、CMサード」のうちの2番目のPRとSNSです。

3週間のキャンペーンでは、大きく3つの山を作りました。1つは、記者会見のタイミングです。

2月27日の記者会見では等身大パネルを使用(写真:ファミリーマート)

年初にむけてファミリーマートの全体事業戦略の発表をメディア向けに行う中で、目玉の1つが大谷翔平選手とのファミマのおむすびの新キャンペーンでした。

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