大谷選手の記者会見が「成功」を収めた3つの理由 「自分の言葉」で話すことから生まれる真摯さ

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記者会見
“自分の言葉で話すこと”の強みとは(写真:Wellphoto/PIXTA)
率直なところ、大谷選手の記者会見をみて多くの方が「安堵した」のではないだろうか。大谷選手が自分の言葉で、普段通りの調子で、ことの経緯を、水原氏への複雑なる胸中を語る様子をみて、願望込みで、やはり多くの方が記者会見に前向きな感情を持ったと考えられる。
その理由を、経済学者にして、YouTuberとして、さらには起業家としてプレゼンで道を切り拓き、その知見を『一生使えるプレゼンの教科書』として発表した中川功一氏が明らかにする。 

捜査の結果が出ていないうちに語るのは、時期尚早かもしれない。また、彼のプレゼンを理論的に分析するというのも、実にやぼなことでもあるかもしれない。だがそれでも、プレゼンの専門家として、(捜査の結果がどう出るかは、また別の問題として)今回の彼の記者会見は成功だったと評したうえで、ではなぜ成功を収めることができたのか、論じておきたい。

“オーセンティック”な語りがもつ力

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プレゼンの専門家として、私がみる大谷選手の記者会見の成功理由は「大谷選手が、普段と変わらぬ調子で、自分の言葉を使って語ったこと」だと考える。経営学ではこれをオーセンティック(Authentic:自分らしく真摯であること)という。オーセンティックに語ることが何よりも説得力を持つ理由については、実は古代ギリシアの時代から研究蓄積があり、その理由は大きく3つにまとめられている。

第1は、そこに素直な論理性があることだ。私たちは大谷選手の語りによどみがなく、実に自然で、ストーリーに破綻がない様子を見て取った。論理性は説得力の基本的源泉である。では、どうやれば論理を自然に作ることができるのか。オーセンティックであることは、ここで生きてくる。嘘偽りがないなら、自分に見えたままに、自分の言葉で語ればよいのだ。入れ知恵を想起させるような難しい言葉や、何かを隠すようなあいまいな言葉が使われないことで、誰もが追いやすい、素直な論理がそこに生まれてくる。

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