大谷選手の記者会見が「成功」を収めた3つの理由 「自分の言葉」で話すことから生まれる真摯さ
捜査の結果が出ていないうちに語るのは、時期尚早かもしれない。また、彼のプレゼンを理論的に分析するというのも、実にやぼなことでもあるかもしれない。だがそれでも、プレゼンの専門家として、(捜査の結果がどう出るかは、また別の問題として)今回の彼の記者会見は成功だったと評したうえで、ではなぜ成功を収めることができたのか、論じておきたい。
“オーセンティック”な語りがもつ力
プレゼンの専門家として、私がみる大谷選手の記者会見の成功理由は「大谷選手が、普段と変わらぬ調子で、自分の言葉を使って語ったこと」だと考える。経営学ではこれをオーセンティック(Authentic:自分らしく真摯であること)という。オーセンティックに語ることが何よりも説得力を持つ理由については、実は古代ギリシアの時代から研究蓄積があり、その理由は大きく3つにまとめられている。
第1は、そこに素直な論理性があることだ。私たちは大谷選手の語りによどみがなく、実に自然で、ストーリーに破綻がない様子を見て取った。論理性は説得力の基本的源泉である。では、どうやれば論理を自然に作ることができるのか。オーセンティックであることは、ここで生きてくる。嘘偽りがないなら、自分に見えたままに、自分の言葉で語ればよいのだ。入れ知恵を想起させるような難しい言葉や、何かを隠すようなあいまいな言葉が使われないことで、誰もが追いやすい、素直な論理がそこに生まれてくる。
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