ゴミやモノが天上まで積み上がっている……というようなゴミ屋敷ではないが、臭いはかなりキツく、大量の糞尿が畳と床に侵食し、完全に荒廃しきっていた。
家主は60代の女性。イーブイに片付けの依頼をしてきたのは、その家主の妹だった。妹が話す。
「私が(最後に)来たのが5年以上前で、そのときはきれいでした」
シングルマザーだった家主は、もともと3人の子どもと猫たちと一緒にこの家で暮らしていた。子どもたちは大人になるにつれ、1人ずつ独立し家を出て行き、最後に猫と家主だけが残った。

惨状を子どもたちには内緒にしていた
しかし、家主には猫たちの面倒を見切れない事情があった。重度の喘息持ちだったのだ。
妹いわく、家主は「子どもに迷惑をかけないために、自分が我慢すればいい」という思いが非常に強かった人だという。
「初めて部屋を見たときは言葉も出ず、唖然としました。『なんで?』って悲しい気持ちにもなりました。姉は喘息持ちだったので猫は絶対ダメ(発作が出るので世話ができない)だけど、自分さえ我慢すればいいと、次女には『猫は置いていきなさい』と言ったみたいなんです。どうしてもペットを飼える部屋が見つからなかったみたいで」(妹)
そんな猫の世話が影響したのか、家主の喘息は日に日に悪化。常に体調が優れず、家のことは何もできなくなり、次第に家全体が荒廃していった。
ただ、子どもにも妹にも家の現状を打ち明けることができず、悩んだ末に出した決断は「別の家を借りる」ことだった。そこから、猫が住む家にエサだけをあげにいく生活が始まった。


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