大局観なき抗争で国民は蚊帳の外、今国会の最大焦点「企業・団体献金問題」がこじれまくる"茶番劇"の舞台裏

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
国民からの関心も高かった「企業・団体献金」の存廃をめぐる協議。しかし、各党の党利党略が空回りする中で、議論はあらぬ方向に進んでいる(写真:いちのすけ/PIXTA)

今国会での与野党攻防の焦点である「企業・団体献金」。その存廃をめぐる各党協議が、年度をまたいだ“延長戦”となった。

与党である自民・公明両党と国民民主党が連携して、さまざまな条件を課したうえでの「存続」案を持ち出したことに対し、「廃止」を求めてきた立憲民主党や日本維新の会などが猛反発。「年度末までに結論を出す」という与野党合意が反故(ほご)になったからだ。

各党とも表向きは「早期決着」を強調している。だが、「実際には、にらみ合いによる長期戦も覚悟」(自民党幹部)しており、今国会中は決着せず、双方が非難し合うまま「夏の政治決戦」になだれ込むという最悪の事態も想定される状況だ。

その場合、野党陣営が国民民主党と立憲民主・維新・共産党・れいわ新選組が対立する形で分裂状態に陥る可能性が高い。今夏の参議院選挙における野党共闘への影響も避けられない情勢だ。

反故になった「年度末に結論」の与野党合意

もともと与野党は昨年末の臨時国会で、立憲民主などが提出した企業・団体献金禁止法案について「2024年度末までに結論を得る」ことを申し合わせていた。そのため、年度末が迫る中、衆参両院に設置された政治改革特別委員会では、「企業・団体献金を存続させ、透明性を高める」という自民案と、「企業・団体献金の原則禁止」を定めた立憲民主・維新など野党5党派案の2法案を審議してきた。

しかし、公明、国民民主両党がいずれの法案にも賛成しない姿勢を示したことで、2法案とも過半数に届かない状況となっていた。そうした中で、自民・公明・国民民主の3党が「年度末までに結論を出す」との与野党合意を盾に各党案の採決を求めた背景には、「『全面廃止』の立憲・維新案を否決・廃案に追い込み、新たな交渉の土俵に誘い込む思惑」(自民党幹部)があったとされる。

次ページ各党の狙いはどこに?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事