自公維の合意ににじむ「吉村維新」の"前途多難" 「大阪党」の限界露呈、参院選も厳しい戦いに
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自民、公明両党と野党第2党の日本維新の会(維新)が25日、2025年度政府予算案の修正協議で「教育無償化」「社会保険料引き下げ」などで合意したことで、石破茂政権が切望する予算成立が確実となった。これにより、前半国会の最大の焦点だった予算案をめぐる与野党攻防は「“円満決着”の形」(自民国対)となり、石破首相ら政府与党幹部と維新の吉村洋文代表(大阪府知事)ら幹部は、それぞれ「安堵」と「得意満面」の表情だ。
ただ、急転直下にもみえた今回の自公維合意の舞台裏では「複雑怪奇な駆け引き」(同)もあり、改めて「吉村維新」の前途の多難さを浮き彫りにした。なかでも、吉村氏を軸に「大阪党」の色彩を強める維新は、昨秋の衆院選での「敗北」を受けての党内の“東西対立”による内紛が激化する一方、兵庫県知事選に絡む地方議員の「不祥事」も抱えているため、「今回の“成功”とは裏腹に、参院選は厳しい戦いを強いられる」(選挙アナリスト)ことは避けられそうもない。
25日夜の自公維合意の経緯や結末については、NHKや民放テレビ各局のニュースや情報番組で大きく取り上げられ、中央紙もほとんどが26日付け朝刊の1面トップで報じるとともに、政治面でそれぞれ分析・解説記事を展開した。「報道ではまさに維新の日」(民放幹部)となったが、その一方で兵庫県知事の内部告発問題をめぐる維新県議の処分問題も取り上げられ「明暗が交錯する報道内容」(政治ジャーナリスト)となったことで、「維新の政治的立場の危うさ」(同)も露呈した。
「成果」を自賛する吉村氏に党内批判相次ぐ
吉村氏は、合意を決めた自公維党首会談で「これからも公約を実行する。少しでも社会を変えるため前に進めていきたい」と与党との政策協議の成果を自賛した。しかし、そこまでに至る党内手続きが混迷を極めたことで、吉村執行部の威信低下は否定できないのが実態だ。
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