予算案の衆院通過、複雑に交錯する各党の明暗 自公「安堵」立憲「埋没」維新「迷走」国民「高揚」

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(写真:時事)

前半国会の最大の焦点だった2025年度予算案は、与党の自民・公明両党と野党第2党の日本維新の会(維新)の「教育無償化」などでの合意を踏まえた修正案と合わせて、4日午後の衆院本会議で3党などの賛成多数で衆議院を通過、5日から参院予算委での審議がスタートした。同案の自然成立は4月2日となるが、与党過半数の参院での審議短縮によって関連法案も含めた年度内成立も可能となる。

政府の当初予算案が国会審議で修正されるのは1996年の橋本龍太郎内閣以来、29年ぶり。さらに、予算本体の減額修正は1955年の鳩山一郎内閣以来70年ぶりという「異例の事態」(衆院事務局)で、少数与党によるいわゆる「宙づり国会」での政権運営の厳しさも浮き彫りにした。

そうした中、石破茂首相ら与党幹部と、野田佳彦・立憲民主、吉村洋文・維新、玉木雄一郎・国民民主の3党代表らの間では、「それぞれの“明暗”が複雑に交錯している」(政治ジャーナリスト)のが実情だ。

まず、最優先課題だった予算成立が決まったことで、自民党総裁の石破首相や森山裕同党幹事長と斉藤鉄夫公明党代表らは安堵の表情を隠さない。これに対し、野田立憲代表は「埋没」、吉村維新代表は「迷走」への、それぞれの不安と焦りをにじませる一方、4日に復職した玉木国民民主代表は「高揚」と「自信」で明るい表情が際立つ。こうした各党最高幹部それぞれの態度は、「7月の参院選を軸とする『夏の政治決戦』での勝ち負けを見通したもの」(選挙アナリスト)との指摘が少なくない。

ただ、今年度末が期限となる「企業・団体献金廃止」問題や、国会会期末直前の決着が想定されている「選択的夫婦別姓」問題を巡る与野党攻防は「各党が複雑怪奇な駆け引きを展開することになる」(政治ジャーナリスト)との見方が多く、会期末(6月22日)までの約3カ月半は、「出たとこ勝負の神経戦が続く」(自民国対)ことになりそうだ。

自公の“維新取り込み”で「最低限の修正」に

今回の予算案衆院通過までの経過を検証すると、与党は立憲、維新、国民民主3党との水面下の調整工作などで、「巧妙に3党を競わせて、最終的に『最低限の国会修正で済む維新の取り込み』に成功した」(自民国対)ことは間違いない。

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