「103万円の壁」自公国協議打ち切りの舞台裏 玉木氏が「理想とは程遠い」と抵抗の狙いは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
榛葉賀津也幹事長(写真:時事)

通常国会での予算修正協議の「最大の焦点」(自民幹部)とされた「103万円の壁」引き上げ問題は26日、与党の自民、公明両党と国民民主党の大詰めの調整でも合意が得られず、協議は事実上打ち切りとなった。「178万円」への引き上げを強く求める国民民主と折り合いがつかなかったためだが、自公両党はこれまでの協議を踏まえ、従来の政府案で123万円としていた課税水準を160万円に引き上げる税制改正の修正案を28日にも国会提出し、日本維新の会(維新)など他野党の協力を得て、会期内の成立を目指す構えだ。

昨秋の衆院選での与党過半数割れを受けた「宙づり国会」で、政府予算などを巡る与野党修正協議の“主役”となったのが、玉木雄一郎氏(3月4日に代表復帰)が率いる国民民主。石破茂首相(自民党総裁)、斉藤鉄夫公明党代表ら与党最高幹部も、「安定的な政権維持には、国民民主の取り込みが必須」(自民幹部)として、自公国3党協議での合意取り付けに腐心してきた。

今回、与党が国会提出する税制改正修正案について、自公国協議の中軸となった宮沢洋一自民党税制調査会長らが「3党協議の集大成」と位置づけ、今国会での成立、早期実施を目指すのは、「国民の要求に応える与党」をアピールするのが狙いとみられる。これに対し、玉木氏が「理想とは程遠い」などと抵抗するのは、「わが党への国民の支持は高く、『要求貫徹』の姿勢を堅持すれば、次期参院選でも躍進が可能との読みに基づく」(側近)とされる。

ただ、こうした玉木氏について、与党は「これまで主張してきた『対決より解決』ではなく、『解決より対決』という真逆の対応」(自民税調幹部)と反発し、「現時点で実現可能な税制改正修正案を突き付けることで、圧力をかける」(同)ことに踏み切った格好だ。そうした中、他野党から「玉木氏の“政局優先”の態度はおかしい」(維新幹部)との声も出るなど、「今後の展開次第では、与野党攻防に絡めた“玉木潰し”の動きが顕在化することも想定される状況」(政治ジャーナリスト)となりつつある。

国民民主は年収制限の全面撤廃を主張しているが…

与党が提出する税制改正修正案は、「年収の壁」を160万円に引き上げたうえで、年収850万円を上限に、控除を4段階で上乗せするという内容で、「財務省の試算では、1人あたり年2万円前後の減税になる」(自民税調幹部)という。そもそも、「年収の壁」引き上げを巡って国民民主は年収制限の全面撤廃を主張しているが、有識者からも「それでは富裕層優遇となり、税の公平性に反する」(税制専門家)との批判がくすぶっていることも踏まえた「与党の強かな戦略」(政治ジャーナリスト)ともみえる。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事