「103万円の壁」自公国協議打ち切りの舞台裏 玉木氏が「理想とは程遠い」と抵抗の狙いは
そこで、「年収の壁」を巡るこれまでの与党と国民民主の協議を振り返ると、「内容や手続きを含めた“ボタンの掛け違い”ばかりが目立ってきた」(同)のが実態とみられている。この点について関係者は「3党それぞれに『党内の主導権争い』があり、とくに、国民民主内で交渉担当者となった古川元久代表代行(党税調会長)と玉木氏サイドとのあつれきが協議迷走の原因」(自民税調幹部)と指摘する。
そもそも、自民党の交渉責任者となったのは党執行部の森山裕幹事長、小野寺五典政調会長と宮沢税調会長の3氏。その中で、森山、宮沢両氏は「最初の段階から意思疎通を絶やさず、わざと対立するふりをしてまで、国民民主の懐柔を狙った」(同)とされる。というのも、衆院選敗北を受けて再編成された自民税調は、会長に再任された宮沢氏がまず決めたのが森山氏の最高顧問就任だが、「幹事長の最高顧問就任は極めて異例で、その時点から森山・宮沢コンビで対応することが固まった」(同)との見方が少なくない。
玉木氏の“不倫失脚”が「ボタンの掛け違い」に
4カ月近くが経過した「壁」引き上げ協議での最大の「ボタンの掛け違い」は、昨年11月の玉木氏の不倫問題発覚による「失脚」で、国民民主の交渉担当者が古川氏に代わった後の迷走ぶりだ。「古川氏は旧大蔵省入省年次で玉木氏の5期先輩で、強いライバル意識を持っており、あえて玉木氏に相談せず宮沢氏との交渉を進めたため、国民民主内で主導権争いが表面化したのが原因」(同)とされる。
それが昨年12月中旬の交渉大詰めの段階で、「玉木氏が腹心の榛葉賀津也幹事長を通じて森山氏と新たな合意を確認し、これを知らされていなかった古川氏が3党協議を打ち切るという想定外の事態」(同)につながり、「その時点から『壁引き上げ問題』が暗礁に乗り上げた」(自民幹部)というわけだ。
これを受けて、宮沢氏は森山氏の了解も得て「実質協議を当分棚上げとし、通常国会開幕後もすべてを予算委など表舞台での協議の結果に委ねる戦略に変更した」(自民税調幹部)とされる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら