「103万円の壁」自公国協議打ち切りの舞台裏 玉木氏が「理想とは程遠い」と抵抗の狙いは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

玉木氏らにとって「自公維合意」が大きな誤算に

そもそも、今回国会提出される税制改正修正案は「昨年の協議棚上げの前に提案すれば、玉木氏もすぐ、受け入れた内容」(同)だったとの見方も少なくない。そうした中、玉木氏らの大きな誤算となったのが、通常国会開幕後に急進展した与党と維新の「高校無償化」などを巡る修正協議。自民にとって「維新との合意のための財源は1000億円単位で、予算案の一部修正で実現可能」(自民国対)だったため、与野党協議が大詰めを迎えた26日に合意が成立。

その結果、石破政権が目指す「予算成立」が確実となり、自民党内からは「もう、ごねる国民民主に付き合う必要はなくなった」(同)との声が噴出する状況となったからだ。

一連の予算修正協議を巡る“騒動”が一段落したことを受け、玉木氏ら国民民主幹部は与党が国会提出する「最終案」についても「このような内容では到底、予算案や税制改正案には賛成できない」(古川氏)と憤る一方で、予算成立後の自公国協議再開は拒まない姿勢をにじませた。同党内に「わが党は完全に軽視されている。与党からすれば、維新の協力が得られれば国民民主に妥協する必要がなくなり、今後の法案審議などでも我が党の交渉力は低下する」(若手)などの執行部への不満、批判を意識した対応ともみえる。

これに対し、玉木氏周辺からは「むしろこれで支持者が増える。安易に妥協するより『178万円』の目標を掲げ続けて参院選になだれ込めば、議席倍増も夢ではない」(側近)との強気の声も相次ぐ。ただ、永田町関係者の間では「土壇場まで国民民主の味方だった公明も裏切ったことで、3月4日に代表復帰する玉木氏に対する他党の“玉木潰し”の動きも加速する」(政治ジャーナリスト)との見方が多く、玉木氏の“対決戦略”の成否はなお不透明な状況が続くことは間違いない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事