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「地方から女性流出を防げ」を主張する無意味…東京一極集中の議論に欠けている視点

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  • 荒川 和久 独身研究家、コラムニスト
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女性の東京一極集中といわれるのは、東京における女性の転入超過が多いためですが、あくまで女性における転入超過であって男性と比べたものではありません。男女で比較すれば、昔も今も、全年齢でも若者だけでも、東京の転出でもその他への転出でも「男性の転出のほうが多い」ということになります。

男性は転出も多いが転入も多い

そもそも転出超過・転入超過だけを見て「女性の流出が問題」「東京だけに集中している」と断じるのは表面的すぎます。前述したように他方からの総転出数は男性のほうが多いのに男性の地方からの転出超過が女性より少なくなるのは、転出も多いが転入も多いからです。

つまり、女性より男性のほうが、いったん出て行っても「戻ってくる(Uターン)」または「入ってくる(Iターン)」が多いということでもあり、男性のほうが人口移動の流動性が高いということになります。そしてこの流動性こそがかつての経済成長の礎でもありました。

とはいえ、「男性は戻ってくるが、女性は出て行ったら戻らない」というわけでもありません。

具体的に数字を確認しましょう。以下のグラフは、2020~2024年の5年間の各道府県の20~30代男女別東京転出した総数に対してどれだけ東京から転入してきたかを示すものです。必ずしもすべてが生まれ故郷に戻った割合ではありませんが、東京転出に対するUターンとIターンの合計率と考えていいでしょう。

これによれば、埼玉などが100%を超えているのは結婚した世帯が東京から多く転入してきたことを表しますが、全体的に男女ともほとんど5割以上が20代で出て行っても30代までに戻っていることになります。これはあくまで東京に出てきた場合に限る数字ですが、ここから、男女ともに東京に転出したからといってそのまま戻ってこないわけではないことがわかります。

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