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「大阪IR」不動産鑑定の奇妙な一致に訴訟6件の泥沼。2030年に開業予定だが地元では不満が噴出

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また、日本不動産研究所(以下、不動研)とarecの2社は、取引事例地に同じ場所を選んでいただけでなく、その事例が「土地+地上建物の売買価格」であるところ「土地の価格」として計上するという初歩的なミスまでともに犯していた。偶然の一致とは到底思えず、鑑定談合を強く疑わせる。

大阪府内で起きた森友学園事件では、同じ土地の鑑定結果に1億3400万円から13億円まで開きが生じ、不動産鑑定の信頼性を根本から揺るがす事態を招いた。

大阪IRは昨年9月まで、違約金なしで撤退できる「解除権」を有していた。

今回は、何としても大阪でIRを実現したい大阪市が、カジノ事業者が撤退しないよう破格の条件を提示しようと不動産鑑定業者を誘導した疑いが浮上している。

裁判では鑑定士個人も損害賠償請求の対象となっている。不動産鑑定への信頼が根底から揺らいだ以上、第三者委員会を設置するなどし、不動産鑑定業の信頼を取り戻すべきではないか。

破棄メールの真相

大阪市は、不動産鑑定をめぐって業者と交わしていたメールについて当初「存在しない」としていた。だが後に、情報開示請求を受けて担当職員が破棄していたことが発覚する。外付けハードディスクによってメールは掘り起こされ、結果、198通ものやり取りの中身が明らかになった。

原告が市と鑑定業者とのメールを分析した。不動研が「カジノ事業を考慮外」にして鑑定するというメールを市に送ると、市は、同一内容のメールをほかの3社にも送信していた。しかもそのメールには、1平方メートル当たり12万円という土地価格の算定額までが参考価格として記載されていた。

最寄り駅についてのからくりも明らかになった。メール上では4社のうち2社が「夢洲駅開業を前提として鑑定する」としていたが、不動研が「地下鉄延伸は考慮しないで鑑定する」というメールを市に送付すると、市から4社に「地下鉄延伸は考慮しない」とするメールが送られた。

鑑定評価で4社がそろって最寄り駅を「コスモスクエア駅」としたのは既述のとおりだ。賃料が安くなるよう、市が鑑定業者を誘導していたのである。

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