「大阪IR」不動産鑑定の奇妙な一致に訴訟6件の泥沼。2030年に開業予定だが地元では不満が噴出

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3社が不自然に一致

確かに、鑑定が実施された当時は地下鉄工事の最中であり、夢洲駅は完成していなかった。だが、計画は鑑定評価書にも記載されている。大阪メトロは大阪市が株式の100%を保有する会社だ。計画が頓挫する可能性は限りなく低いはずだが、4社とも「完成することが確実ではない」という理由で、夢洲駅を最寄り駅とはしなかった。

2つ目は、4社とも最有効使用を「IR」としていない点だ。最有効使用とは、その地に最も適した施設のこと。鑑定業者2社は大規模複合型商業施設、すなわちイオンモールのような低層・中層の郊外型ショッピングセンターを最有効使用と判断している。

IR事業を行う用地を貸し出すための鑑定なのに、「高層ホテル」といったIR施設が建設されることが前提とされていないのだ。

さらに、鑑定では4社中3社が基礎価格1平方メートル当たり「12万円」、期待利回り「4.3%」、月額賃料「428円」と算出したため、関西メディアは「奇跡の一致」と報じた。

不動産鑑定士は土地の基礎価格や最有効使用、期待利回りなど複数の要素を基に鑑定評価を行う。49万平方メートルもの土地の鑑定結果がきれいに一致するのは奇跡に近い。

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