「大阪IR」不動産鑑定の奇妙な一致に訴訟6件の泥沼。2030年に開業予定だが地元では不満が噴出

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夢洲と咲洲の遠景
奥がIR予定地の夢洲、手前が不動産鑑定に使われた咲洲(撮影:ヒラオカスタジオ)
大阪・関西万博が開幕する。2030年にはIR(統合型リゾート)が開業。都市再開発も盛り上がりを見せている。55年前の大阪万博をピークに産業基盤が細ってきた関西経済は、かつての勢いを取り戻せるのか。『週刊東洋経済』4月12日号の第1特集は「関西が熱い!」だ。
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「大阪市は松井一郎前市長や横山英幸現市長、カジノ事業者らに大阪カジノでの損害金1045億円を払わせろ」

2024年12月16日に起こされた住民訴訟の請求趣旨だ。

大阪・関西万博会場に隣接するIR施設の予定地は大阪市が所有しており、事業者である大阪IRに33年間にわたって貸し出される。賃料は消費者物価スライドで変動するものの実質的に固定化されている。その金額が正当な評価額より低く設定されている疑いがあり、市が本来受領すべき賃料との差額を払えというのだ。

なぜ、賃料が低く設定された疑いがあるといえるのか。

“鑑定談合”が行われていたと主張

原告は不動産鑑定のやり方に評価基準違反があったうえ“鑑定談合”が行われていたと主張する。

初期投資額が約1兆2700億円というビッグプロジェクトであるため、大阪市は4つの不動産鑑定業者に調査を依頼した。

19年11月に公表された不動産鑑定評価書4通には、不自然な点が散見される。

1つ目は、IR施設は大阪メトロ・夢洲(ゆめしま)駅の真横に建設されるにもかかわらず、鑑定を行った4社とも、海を挟んで3.5キロメートル離れた咲洲(さきしま)という人工島にあるコスモスクエア駅を最寄り駅として算出していることだ。

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