欧州の予測できない「3つのリスク」とは何か ギリシャ危機よりも深刻になる可能性

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しかし、いずれにせよ、だれかが負担するわけですから、当然財政負担がかかり、ドイツを除く欧州、特にもともと財政基盤の弱いイタリア、スペイン、東欧の国々などはまたぞろ、信用リスクの問題が表面化する可能性が大です。

フォルクスワーゲンの問題は予測がつかない

第二の問題はフォルクスワーゲン(VW)の不正問題。これも現在把握されているもののほかに、問題になるものが世界中に一体どれだけあるのか、正確にわかっていません。アメリカで起きたことが世界中で起きていた、となるとそれこそ回収などの費用、訴訟費用などを考えれば膨大なコストがかかることになるでしょう。一企業で負担できる金額なのかどうかさえわかりません。
しかも、あれだけの大会社で問題が起きたわけですから、同じような問題が他の自動車メーカーにはないのか、と市場が疑心暗鬼になるのは当然でしょう。

結果として、軒並み自動車関連株が下がりましたが、これらの問題は現在把握されておらず、まさにまったく計算のできないリスクになりつつあります。また、他の欧州諸国はどうなのか、という問題にもなる可能性や、ドイツの工業製品全体に対する不信感につながるリスクなど、その規模は予測不能です。

また、この問題の場合、これまで最後の砦となってきたドイツで起きた、という事実も極めて深刻です。ドイツは日本と異なり輸出依存度が40%もあるまさに輸出立国で、そのうちの自動車が占める比率は20%近くにも達しますからその影響は甚大です(ちなみに日本の輸出依存度は平均11%程度。高い時でも15%程度ですから日本は輸出立国ではないのです)。

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