当時、テレビの人気経済番組で、あるニューヨークのエコノミストの方が「サブプライムはアメリカのGDPの0.8%しかないので、それが飛んでも大したことはない」、とコメントされていたのです。
リーマンショックの大きさを読めなかった市場関係者
それに対し、私は「トンデモナイ、この商品はレバレッジがかけられていて、その金額の何十倍もの証券化商品が流通しているから恐ろしい規模になる」と主張しても、まったく理解が得られず、「お前は勉強不足だ」と逆に怒られたものです。
多くの「専門家」と言われる人々も同様で、不良債権の総額はせいぜい5~6兆円程度と見積もっていました。われわれは、それは過小評価で、少なくとも100兆円は超えるとみていましたが、当時はほぼ市場の誰からも相手にされませんでした。
終わってみれば、結局100兆円を超えていたことが判明しましたが、それは大多数の参加者には理解されなかったために、いざ、証券化商品がばたばたと返済不能になった途端、パニックになり、結局リーマン・ブラザースが倒産に追い込まれ、いくつもの投資銀行の株価が2ドルとか3ドルとかとんでもない株価になってしまいました。
この時もリスクの規模について、市場または市場参加者が的確にその規模を把握してさえすれば、これほどの問題にならなかったはずです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら