コメダ、コナズ、星乃、むさしの森も…なぜみんな「コーヒー」ではなく「珈琲」? 「珈琲系」カフェチェーン隆盛の"背景"

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ここ数十年、日本で一般的であったドトールやスターバックスコーヒーのような「セルフ式カフェ」は、客単価が低くてもある程度客の回転率を上げることで収支を付ける「薄利多売」方式だった。しかし、近年増加しつつある「珈琲系」はそうではない「厚利少売」モデルになっている。 
 
考えようによっては、セルフ式カフェが流行する前に日本で一般的だった喫茶店の形がチェーンの形で回帰している、と見ることもできるかもしれない(もちろん、セルフ式カフェが数のうえで圧倒的であることは間違いないのだが)。 

「珈琲」という表記で「格式」を生み出す 

「厚利少売」モデルが成立するのは「ある程度時間があって、お金を使える人々」の需要があってこそ。たとえば、シニア層がその代表選手だろう。たまの週末に家族でやってくるファミリー層もそうかもしれない。

また、ママ友会をはじめとした女子会需要など、絶妙な「ハレの日」需要にも対応できる。

実際、私がかつてコナズ珈琲に訪れたときは、周りがほとんどグループの女性で、カフェも食事もできる女子会需要を満たしているように見えた。いずれにしても、「オトナ」のためのカフェチェーンだといえるかもしれない。 

コナズ珈琲の店内。ゆったりしていて、気持ちいい(筆者撮影) 

「コーヒー」ではなく、「珈琲」としているのは、そうすることによってある種の「落ち着き感」や「格式の高さ」を演出しようとしているのではないか。そう考えると、店名に「珈琲」が含まれていることは、「珈琲系」カフェの「厚利少売」モデルをよく表しているともいえるのだ。 
 
ちなみに、データを見るとシニア層、そしてファミリー層の流入数は郊外が非常に多い。住民基本台帳人口移動報告によれば、2023年に他地域からの転入が多かった市町村は、特に国道16号線を中心とする郊外タウン。0〜14歳と65歳以上はその傾向が強い。ファミリー層とシニア層の郊外移動が見られるのだ。

また、「カフェ不足」が指摘される都市部だが、企業側からすると、そう簡単に増やせない事情もある。同一エリア内に店を出しすぎると、テイクアウトやウーバーの点で、カニバリズムを生んでしまうからだ。

もっとも、渋谷や新宿などの日本有数の繁華街では話も変わってくるだろうが、例えばスタバで言うと、すでにそれぞれ20店舗程度存在。飽和状態にあるのは間違いない。

このように考えたとき、郊外立地の「珈琲系」カフェは潜在的に大きな顧客層を抱えていることになる。需要が高いのだ。さまざまな企業がこうした「珈琲系」に手を伸ばす理由もわかる。 

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