東京電力・偽りの延命、なし崩しの救済《4》--張子の虎の総合計画
こうした激変期に作られることになる東電の総合計画に対し、「そもそも制度改正をどの程度織り込んでいるのかわからない」(経産省出身で、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科の岸博幸教授)という指摘もある。
となれば、総合計画自体が“張りぼて”になりかねない。原子力損害賠償支援機構関係者の一人は、「政府から当面の資金援助を受けるためのお墨付きを得るような内容なら、正直、計画が夏までもつかも危うい」と明かす。
別の関係者も、「今盛り込めるのは、法律改正しないでもできることだけだ。法改正が必要なものは、長期的な目標を掲げてお茶を濁すことになる」と話す。
政治の道具になりうる総合計画の危うさ
民主党政権がいつまでもつか、という不安要素もある。「自民党には電力業界に近い議員も多く、(仮に政権交代があれば)東電には都合がいい。その時を待って、東電が反撃に出る可能性もある」(岸教授)。
東電が中期的には、「除染や廃炉の責任をうやむやにしようと考えているフシすら感じられる」(原賠機構関係者)。
いくら張りぼてであろうとも、国民の血税が1兆円も投入されようとしている以上、総合計画の内容を軽視することはできない。東電、原賠機構、政府が、安易な落としどころを探り、妥協したような案なら、国民の税金をドブに捨てるも同じだ。