
一方、障害年金の申請については「年金はいただきたいのですが、(障害年金の)原資が健常者の皆さんの保険料だと思うと、申し訳なくて躊躇しています」と話す。マサアキさんは精神障害者手帳3級を持っている。携帯電話や一部のタクシー、バスなどの料金が割引されるが、こうしたサービスも「申し訳ない」という理由で利用していないという。
当事者を萎縮させるSNS上の「弱者叩き」
障害年金の原資にはマサアキさん自身が払ってきた保険料も含まれる。受給やサービスの利用は正当な権利だ。なぜ「いただきたい」「申し訳ない」などという発想になるのか。理由は、SNS上の「弱者叩き」にあるようだった。
マサアキさんは「Xは障害者に対する弱者叩きがあふれてるじゃないですか。そういう投稿を見ると心がえぐられますし、申請はやめたほうがいいのかなと思うこともあります」と語る。SNS上に数多くある障害者への差別表現はここに書くのがはばかられるほどおぞましい。そしてそれらは当事者を萎縮させる“効果”も持つ。

マサアキさんによると、自身の父親にも発達障害の特性があるという。ただ父親は家庭を持ち、会社にも居場所があった。診断も受けていない。
父親とマサアキさんの違いはどこにあるのか。マサアキさんは「運ではないでしょうか」と言う。
「父は、少し変わった人も受け入れられた昭和の人。生まれた時代の運がよかった。それだけの違いだと思います」。そしてためらいがちにこう続けた。
「自分が“普通の人”だと思ってきたように、今弱者叩きをしている人もいつか発達障害と診断される可能性はある。もし同じ立場になったら、どう思うかを考えてほしい」
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