食料品も家賃も割高なのに、最低賃金は全国"ワースト"2位の沖縄「手取り11万円で1人暮らしは無理」と嘆く《30代男性の職歴》

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「見た目は障害者とわからないような自分が、健常者の皆さんが働いて納めた保険料が原資の障害年金を申請するのは申し訳ない」と繰り返すマサアキさん。彼自身がネットの“弱者叩き”に呪縛されているようにもみえた(画像:マサアキさん提供)

一方、障害年金の申請については「年金はいただきたいのですが、(障害年金の)原資が健常者の皆さんの保険料だと思うと、申し訳なくて躊躇しています」と話す。マサアキさんは精神障害者手帳3級を持っている。携帯電話や一部のタクシー、バスなどの料金が割引されるが、こうしたサービスも「申し訳ない」という理由で利用していないという。

当事者を萎縮させるSNS上の「弱者叩き」

障害年金の原資にはマサアキさん自身が払ってきた保険料も含まれる。受給やサービスの利用は正当な権利だ。なぜ「いただきたい」「申し訳ない」などという発想になるのか。理由は、SNS上の「弱者叩き」にあるようだった。

マサアキさんは「Xは障害者に対する弱者叩きがあふれてるじゃないですか。そういう投稿を見ると心がえぐられますし、申請はやめたほうがいいのかなと思うこともあります」と語る。SNS上に数多くある障害者への差別表現はここに書くのがはばかられるほどおぞましい。そしてそれらは当事者を萎縮させる“効果”も持つ。

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マサアキさんによると、自身の父親にも発達障害の特性があるという。ただ父親は家庭を持ち、会社にも居場所があった。診断も受けていない。

父親とマサアキさんの違いはどこにあるのか。マサアキさんは「運ではないでしょうか」と言う。

「父は、少し変わった人も受け入れられた昭和の人。生まれた時代の運がよかった。それだけの違いだと思います」。そしてためらいがちにこう続けた。

「自分が“普通の人”だと思ってきたように、今弱者叩きをしている人もいつか発達障害と診断される可能性はある。もし同じ立場になったら、どう思うかを考えてほしい」

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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