日本で匿名投稿が主流のSNS…匿名派は「言いたいことが言える」、実名派は「自分を隠して言いたい放題はフェアじゃない」

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日本で匿名が多い理由について、2000年代からインターネット掲示板やSNSを運営してきたIT会社「アル」(東京)の古川健介社長(43)は、「日本の初期の掲示板が匿名を前提にしていたのが要因では」と話します。自己主張が苦手な日本人の気質にも合い、「ネットは匿名利用」という意識がおのずと定着したとみています。

<SNSは完全匿名でやったほうがいい>。1月、Xに「ちゃんけー」のアカウントでそうつぶやいたのは京都府の男性(27)。「実名だと言いたいことが言えない。匿名なら本当の自分を出せる」と話し、アカウントを開設した約10年前から、匿名で日々の出来事や思ったことを発信しています。ただし、他人を 誹謗(ひぼう) 中傷しないなど、独自のルールを決めて利用しているそうです。

匿名の利点には「自由に発信できる」「多様な意見が集まる」といった点があります。古川さんによると、SNS上の対立が分断を招いている米国などでも、匿名の利点が注目されているそうです。

ただし、匿名には、他人への誹謗中傷が行われやすいといったデメリットも指摘されています。SNS上で匿名のアカウントなどから誹謗中傷を受けた人が自ら命を絶つという、痛ましい出来事も相次いで起きています。

匿名だと、なぜ誹謗中傷につながりやすいのでしょうか。米国の心理学者らが1984年に発表した研究報告によると、被験者3人の2グループに、コンピューターを介してそれぞれ匿名、実名で議論してもらったところ、匿名のグループの方がより攻撃的な発言をする傾向が表れました。

匿名のやり取りは、衝動的で自己主張が強い行動につながりやすいと考えられています。

総務省は、匿名での利用が多いことを踏まえ、「相手を傷つける言い回しは、批判ではなく誹謗中傷。カッとなっても立ち止まって」などと呼びかけています。

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