「2度目のW杯切符」森保監督は何がスゴいのか? ベテランサッカー記者が見た"マネジメントの妙"

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自身として2度目、日本としては8大会連続のワールドカップ出場を決めた森保一監督。そのマネジメント力はビジネスパーソンにも参考になる点が多い(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

3月20日の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・バーレーン戦(埼玉スタジアム)。日本代表は久保建英(レアル・ソシエダ、以降選手名のカッコ内は現所属クラブ)の1得点・1アシストの活躍もあり、順当に2対0で勝利。8大会連続で世界への切符を手に入れた。3試合を残しての出場決定は日本史上最速だ。

「史上最強」との呼び声も高い日本代表。その背景にあるのが、6年半にわたって長期政権を続けている森保一監督のマネジメントだろう。

2018年ロシアW杯で西野朗前監督の下、コーチを務めた彼が指揮官に昇格したのは同年7月。これだけの長期政権も史上初で、そのプラス効果が出ていると見ていい。

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最初のアジアカップでの苦杯で若手発掘を積極化

森保監督は当時、2020年(実際には2021年)の東京五輪に挑む代表チームの監督も兼務していた。東京五輪代表は1997年1月1日以降生まれの選手に出場資格があった。

それをにらみ、指揮官は冨安健洋(アーセナル)や堂安律(フライブルク)という20歳前後の若手をA代表に抜擢。ロシアW杯の主力だった長友佑都(FC東京)、吉田麻也(LAギャラクシー)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)、柴崎岳(鹿島アントラーズ)らと組み合わせる形でチーム作りをスタートさせた。

2019年1月のアジアカップ(UAE)の頃はメンバー固定が顕著。とくに守備陣はその傾向が強かった。結果的に日本は同大会の決勝・カタール戦では苦杯をなめ、アジアチャンピオンの座を逃した。それでも、指揮官のチーム作りの方向性は揺るがなかった。

一方で、これを機に、指揮官は若い世代の発掘も積極化させていく。2019年コパアメリカ(ブラジル)には、18歳になったばかりの久保や、まだ法政大学に在学していた上田綺世(フェイエノールト)、松本山雅の若手だった前田大然(セルティック)らを招集。彼らと川島永嗣(ジュビロ磐田)や岡崎慎司(バサラ・マインツ監督)らを一緒に戦わせることで、代表の厳しさや世界基準を植え付けていった。

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