明暗分かれた2025年春闘、大手企業では満額回答続出の一方で、医療機関では「ベアゼロ」が相次いで、全国各地でストライキに突入

労働組合の中央組織「連合」は3月14日、2025年春闘の第1回集計結果を発表した。基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.46%。前年の第一回集計から0.18ポイント上がり、2年連続の5%超えとなった。
自動車や電機、重工など主要産業の大手各社では、労組の要求に対して満額やそれに近い高水準の回答が相次いだ。自動車ではトヨタ自動車やマツダが、電機では日立製作所やNEC、富士通が満額回答だった。重工では三菱重工業、川崎重工業、IHIがそろい踏みで満額回答となった。さらにスズキや三菱ケミカルは労組側の要求を上回る回答となった。
完全に取り残された医療、介護福祉業界
一方で、完全に取り残されているのが医療、介護福祉などエッセンシャルワーカーの待遇改善だ。
「昨日、大企業の賃上げの報道を聞いて、私たちはこれからどうなるのかという不安と悔しさでいっぱいになりました。とても忙しい現場で人手も足りない、その中で賃上げもされないような状況が続くと、若い人たちはとても続かないと思います」
3月13日、午前8時半。国立病院機構の東京医療センターでは、労働組合員2人が指名ストライキに入った。組合員のなかから限られた人数がストすることで、診療行為は続けられる。スト参加者の看護師の女性は、人手不足の医療現場の実情を病院前で訴えた。
病院前には「看護は犠牲行為であってはなりません」「ケア労働者これじゃ自分もケアできない」などと訴えるプラカードや横断幕が並ぶ。同機構の労組「全医労(全日本国立医療労働組合)」によると、前日の労使交渉では組合側の賃上げ要求に対し、機構側はゼロ回答だった。同日満額回答を出した多くの大企業とは明暗が分かれた。
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