この子を残して死ねない――国会でがん患者の声を紹介 なぜ「高額療養費制度」が見直されることになり、そして見送りになったのか

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全がん連が実施したアンケート。511ページ、厚さ約2.5センチの冊子となった。内容はこちらをご覧ください(写真:筆者撮影)

本国会での見送りが決まった「高額療養費制度」の政府案。

自己負担の上限額を引き上げるというものだったが、石破首相は自ら議論の不十分さを省みて、「患者の方々が不安を抱えたままで見直しを実施することがあってはならない」「見直しについては実施を見合わせる」と語った。

そもそもなぜ、高額療養費制度がターゲットとなったのか。見送られるまでの経緯とともに、患者団体の動きを追った。

この子を残して死ねない

小さな子どもがおり、この子を残して死ねません。それで、高額療養費制度を使って治療を受けていますが、支払いが苦しいです。家族に申し訳ないです。そんな状況なのに、費用が引き上げされると聞いて泣きました。

毎月、さらに多くの医療費を支払うことはできません。私はいずれ死ぬのでしょうが、子どものために少しでも長く生きたい。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残すほうがいいのか、追い詰められています――。

参議院予算委員会の初日、立憲民主党の田名部匡代(たなぶ・まさよ)議員の高額療養費制度に関する質疑で、参考人として招致された女性は、がん患者の「声」を紹介した。

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