「築地は外国人が占拠!?」場外の“離れ”にあった日本人向け穴場では別世界が広がっていた

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この界隈を久しぶりに歩いて驚いたのは、新大橋通り沿いに1軒だけだったビジネスホテルが増えておしゃれになったことだ。夕刊紙が入っていたビルもホテルに生まれ変わった。

そして、40年以上の歴史があった町中華「中華ふぢの」が「Fujino CAFE & FOOD」に変貌していたのだ。老朽化した中華店のリニューアルを機に経営を娘さんに任せ、インバウンド客も取り込めるカフェに転換したとのことだった。

ハンドドリップのおいしいコーヒーをいただきながら、町中華時代の女将さん(カフェ経営者のお母さん)と、バブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍といった苦難の日々の思い出を語り合った。業態を変え、経営者を変えながらも築地の地で客をもてなし続けているのだ。

歴史ある町中華が代替わりでカフェに(筆者撮影)

家庭的なフレンチレストラン

もう一軒、どうしても気になっていた店があった。築地警察署の裏にたたずむ創業1948(昭和23)年のフランス料理「築地蜂の子」である。フレンチとは言うものの家庭的な雰囲気で、かつては木造の一軒家の広間にテーブルがセットされていた。今回訪れてみると、マンションの1階で営業していた。外にあったメニューを見て懐かしさがこみ上げてきた。

ランチメニューは、「Aランチ」(1200円)が本日のスープ、煮込みハンバーグ、エビフライ、本日のフライ、ナポリタン、生ヤサイ、ライス、「Bランチ」(1200円)は日替わり、「Cランチ」(1300円)は、本日のスープ、オムライス、本日のフライ、サラダ、煮込みハンバーグとなっていた。どれだけ充実しているか。

見逃せないのがオリジナル料理。デミグラベースのシチューである「レバヤサイ」(750円)と白スパ(550円)の存在だ。40年以上前からある蜂の子の名物料理だ。レバヤサイに粉チーズをたっぷりと振りかけて、バターでソテーした白スパをあえて食す。豊潤な独特フレンチの世界が広がるはずだ。

1000円台でフレンチのランチが楽しめる(筆者撮影)

このほか新富町寄りのエリアには老舗のそば店「築地さらしなの里」、鰻料理の名店「つきじ宮川本廛」など訪れたい店がいくつもある。築地の場外市場の中心部界隈は外国人をはじめとする観光客に任せて、築地の食文化、伝統をじっくりと楽しみたければ、ぜひとも場外市場から離れたエリアを散策したいものである。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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