「築地は外国人が占拠!?」場外の“離れ”にあった日本人向け穴場では別世界が広がっていた
そういえば、この通りにも「煮魚定食」「焼き魚定食」を提供する庶民的な食堂があった。2011年3月11日の東日本大震災発生時、急遽泊まり込みで紙面製作にあたり、翌日の昼過ぎ、ようやく解放されて最後まで担当してくれた後輩たちを連れて食事を取った店だった。
今はすっかり観光客向けとなってしまい、「そういうメニューは提供していない」とのこと。雑居ビルの2階にあった「なかおち定食」が食べられる喫茶店も姿を消していた。残念だ。十数年の月日の流れを痛感した。
昭和10年創業の日本人に人気な店
外国人客向けの飲食店はもう食傷気味となったので、場外の外れにある老舗の食堂でランチにすることにした。場外の外れの築地6丁目にある1935(昭和10)年創業の「多け乃」に向かった。
この店は、すべてがおいしい。店の壁にはメニューの短冊が所狭しと貼られている。新鮮なカワハギや寒ブリなどの刺身、継ぎ足しで魚のうまみが溶け込んでいる煮汁で煮付けたキンキ、金目鯛などの煮魚、そして天ぷらやカキフライ、さらには、かつ丼や天丼もある。
2階は準セルフサービスで、注文の品を書いた紙に洗濯バサミを挟んで塩ビのパイプの中に落とすというシステム。ビールなどは冷蔵庫から客が自ら取り出す。アナログながら、労働力削減のアイデアである。市場関係者だけでなく近隣のビジネスマン、そしてメディア関係者ら多彩な客に愛され続けている店である。
われわれは、アナゴやキスなど5種類ほどの天ぷらとマグロの切り身、漬物、そしてアサリたっぷりの味噌汁がついた「天ぷら・ミニぶつ切りセット」(1650円)を注文。口の中でとろける中トロと上品な赤身が全部で4切れ、そして衣たっぷりで食べ応えのある天ぷらに大満足した。

屋台みたいな店で食べる海鮮丼などに数千円払うインバウンド相手の店とは、趣が違う。時間が許すときは、こういう老舗で一杯やりながら築地の食を堪能したいものだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら