アドビが推進する生成AI活用、多様なメディア対応でマーケティングキャンペーン構築時間を10分の1に短縮、パーソナライズの新たな形も提案
多様なメディアに、多様なタイミングで提供できるコンテンツを用意しつつ、その結果として広告コンテンツを適切に個人に届ける「パーソナライズ」の拡大が起こり、そのことが結果として成長を促す……という考え方だ。
ただ、オリジナルの広告リソースから多様なコンテンツを生み出すのは大変で、すべて手作業で行うのは難しい。管理も大変だ。さらには、それらをどのタイミングで、誰に対して、どんなメディアに出すかも考えなくてはならない。
しかも、そこでかけられる予算には限りがあり、大きく増やすこともできない。
だからこそ、アドビは管理ツール群を同時に提供する。同社は「Adobe Experience Cloud」というツールを持っているが、この中には顧客の購買履歴やコンタクト情報などが蓄積されていく。そこにAIエージェントとの連携を加え、「調和ある顧客体験」の提供を進める。
その結果できることは多数ある。
企業が商品紹介を行うウェブがあるとする。そこからの製品購買が落ち込んでいる場合、ウェブの再構築が必要になる。そこで、AIエージェントは自動的に分析し、担当者に「どこをどう改善すべきか」を提案する。担当者は「承認」をクリックするだけでウェブの改変は終了する。
広告キャンペーンを相談すると、対象顧客のデータから適切な方向性と広告コンテンツの中身を提案し、最終的な結果の分析まで含めて、担当者1人で確認しながら進めることも可能になる。
こうしたことは、人間にできないものではない。人間を排除してAIに進めてもらうものでもない。だが、こまごまとした作業や判断を人間が行うのは大変だ。だから、「AIにもできる判断」をAIに助けてもらい、人間はそれをチェックし、キャンペーンの試行回数自体を増やしていく……という考え方である。
キャンペーンを構築する時間が10分の1に
アドビは、いくつかの大企業でツールを導入した結果を公表した。
アメリカの通信会社であるT-Mobileは、1月に仕掛けられるマーケティングキャンペーンの量を2.75倍に増やすことができた。電通は、145の地域に対する広告アセットの展開速度を従来の7割の時間に短縮できたという。

そして、アドビ自身も試し、大きな成果を出している。
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