アドビが推進する生成AI活用、多様なメディア対応でマーケティングキャンペーン構築時間を10分の1に短縮、パーソナライズの新たな形も提案
エルサカ氏のいう「多数の仕組み」とは、前出のデジタルマーケティングツール群であり、Photoshopに代表されるクリエイティブツール群のことでもある。そのうえで、企業が生成AIを使うには、より安心して使えるFireflyが向いている……という考え方だ。
生成AIが「パーソナライズ」の意味を変える
また、Fireflyには別の特徴もあるという。
「Fireflyの特徴は『マルチモーダル性』です。他のモデルは動画や音声の対応くらいですが、Fireflyは3Dデータからベクター(線画)まで、多様な生成に対応します。そのことは、1つの要素から別のものに移行しやすい、ということでもあります。写真があればそこから短い動画を作れますし、3Dの知識がなくても3Dデータを作れます。そこから有用なコンテンツを生み出せるのです」(エルサカ氏)
広告との関係でコンテンツが増える、という話をしてきた。その中では、コンテンツの形や見せ方の多様性も重要になる。従来、そういう「見せ方の変更」は、クリエイターに依存していた。その仕事をクリエイターが楽しんでいるならともかく、単に「必要な仕事として手間が増える」だけでは厳しい。クリエイターは新しいもの・特別なものを作ることに集中してもらい、ビジネス上の要請から来る作業は、できるだけ現場で行えるようにすべきだ。そのほうがスピードも上がる。Fireflyのような生成AIの力はそこで発揮される。
そしてもう1つ、エルサカ氏は面白い考え方を示す。「パーソナライズは重要ですが、方向性は2つある」(エルサカ氏)というのだ。
1つは、「企業側が個人に向ける」もの。購買プロファイル・コンタクトプロファイルに合わせたマーケティング展開は、まさにそういう使い方だ。
もう1つは、消費者側が、自分のためにパーソナライズするものだ。
例えばアメリカ・ゲータレードは、プロンプトを入力して「ゲータレードのモチーフを使った、自分だけのカスタムボトル」を作り、注文できるサービスを始めている。過去、こうしたキャンペーンでは、出来合いのデザインに少し色を変える程度のことしかできなかった。だが、生成AIに「企業のトーン」を組み合わせて提供することで、利用する人だけが持つ、本当にパーソナライズされたものを手にできるようになった。

これら2つの「パーソナライズ」は、技術的にはまったく同じものだという。
だが、キャンペーンを仕掛ける側が技術を「どの方向に使うか」を考えることで、新しい顧客との関係を生み出せるようになった。
こうしたことを多数、素早く試せるようになることが、生成AIとデジタルマーケティングツールを導入するメリットそのものなのである。
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