アドビが推進する生成AI活用、多様なメディア対応でマーケティングキャンペーン構築時間を10分の1に短縮、パーソナライズの新たな形も提案
同社はAdobe Summit以外に「Adobe MAX」というイベントを展開している。今年4月に行われる「Adobe MAX London」向けのプロジェクトでは、キャンペーンを構築する時間が10分の1になり、通知の電子メールが開封される率は30%改善したという。

企業に安全な「Firefly」と他社モデルの併用へ
アドビのデジタルマーケティングビジネスの中核にあるのは、生成AIである「Firefly」である。
最大の特徴は、企業がビジネスに使ううえでの「安全性」だ。
自社が運営するデジタルアセットサービスである「Adobe Stock」と著作権が消尽しているコンテンツを軸に学習し、さらに、暴力・性表現などで不適切なコンテンツが出てこないように配慮されている。そこに対し、企業が必要なロゴやカラースキームなどの「必要な特徴」を追加して、「その企業が求めるトーンやマナーにあった内容」のコンテンツを生成しやすいものになっている。
他方、そのことは、創造性を拡大するうえでは1つの枷でもある。自由かつ、新しいアイデアを試すには「別のAIモデル」が必要になる場合もある。
そこで同社は、主にクリエイター向けに、Firefly以外の生成AIも使えるようにする施策を発表した。
アドビでGlobal Head of New Business Ventures & Founder of Fireflyを務めるハンナ・エルサカ氏は、筆者に対し次のようにコメントした。
「詳細は後日発表するが、パートナーのAIをアドビのツールに組み込むためのエコシステムをオープンにしていく。また将来的には、生成AIのモデル自身は差別化要素ではなくなる可能性があり、AIモデルをどう使うか、という周辺の部分が重要だ。弊社はそうした部分に多数の仕組みを持っている」
ただし、どのAIを使っても、作られたものが「生成AIを使っている」ことを示す電子透かしは埋め込まれる仕組みになっているし、生成に使ったコンテンツが、アドビ側などでAIの学習に使われることもないという。
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