エンロン元幹部の入国、日本が拒否した理由

凶悪犯でもないのになぜなのか

自らの犯罪歴により、来日を拒否されたエンロン元CFOのファストウ氏(2004年撮影、写真:Bloomberg/Getty Images)

米国の一大企業であったエンロンが破たんする元凶となった、巨額の粉飾決算。その実働部隊を指揮した元CFO(最高財務責任者)アンドリュー・ファストウ氏が、9月中旬に法務省から日本への上陸を拒否されていたことが明らかになった。

エンロン破たんの原因となった粉飾など、70以上の罪状で刑事罰を受けた身とはいえ、既に刑期を終えて4年。罪状も純然たる経済犯罪であり、凶悪犯罪でもなければ薬物関連でもない。歴史に名を刻んだ米国人の元スーパーエリートを、なぜ日本は拒んだのか。

歴史的粉飾、主役来日は幻に

全米7位に該当する1100億ドルもの年商規模を誇ったエネルギー会社、エンロン。1100億ドルは、当時の円相場(1ドル=131円)換算で14兆円。東京電力の2倍以上の規模だ。破綻したのは、今から14年前の2001年暮れ。310億ドルもの巨額負債を抱えてのことだった。

世界5大会計事務所の一角だったアーサー・アンダーセンは、粉飾に荷担した責任を問われ、最終的に解散を余儀なくされた。その手口は、3500社以上のペーパーカンパニーに、複雑な方法を使って損失を飛ばすというもの。その仕組みの考案者であり、実際に指揮をしていたのが、CFOだったファストウ氏である。

ファストウ氏は、破綻当時のCEO(最高経営責任者)であるケネス・レイ氏(有罪評決から2カ月後の2006年7月に急逝)、元CEOのジェフリー・スキリング氏(懲役24年4カ月)とともに起訴され、有罪判決を受けた。だが司法取引に応じたため、10年の刑期が6年に短縮され、2011年に出所。現在は刑事裁判でファストウ氏の代理人を務めた法律事務所で働きながら、世界各国で講演し、自らの経験を語っているという。

エンロン事件以降も世界中で粉飾事件は発生し続けており、組織に生きるサラリーマンにとって、ファストウ氏の経験はひとごとではない。彼の経験談が世界中で高い関心を呼ぶのは当然だろう。日本でも、日本公認不正検査士協会(ACFEジャパン)が、10月9日開催のシンポジウムに同氏を招き、基調講演をしてもらう予定になっていた。

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