「カジノ解禁」は、地方に何をもたらすのか 観光で「稼げる国」になるための寛容さが必要
カジノを含む統合型リゾート施設(Integrated Resort=IR)の導入に向けた動きが、活発になっている。7月上旬には、大阪の経済界のIR誘致に向けた活動が報じられた。
シンガポールやマカオなどで導入されているIRだが、日本で導入するうえで、どんな問題があるのか。カジノを含む賭博法制(ゲーミング法制・統合型リゾート法制)に詳しい山脇康嗣弁護士に話を聞いた(以下は山脇弁護士へのインタビュー)。
具体的経済効果がまだはっきりしないワケ
カジノを含むIR(統合型リゾート)に、大きな経済効果があること自体は確実です。もっとも、具体的にどれほどの経済効果や市場規模となるかは、現時点では誰にもわかりません。
なぜなら、顧客の実際の消費行動、つまり遊び方は、制度の建て付け(たとえば、カジノゲームにかかわる入場、与信、インセンティブプログラムなどに関する規制のあり方)いかんによって大きく変わりますが、具体的な制度内容がまだ決まっていないからです。
許可を得るために求められる開発規模(投資規模)も、決まっていません。そのため、国内の潜在的富裕層の数や海外のケース(シンガポールやマカオなど)から、正確な市場規模を算出するのは困難です。
外国人だけでなく日本人も入場できるかとか、依存症対策はどうするかといった細かい点も、IR推進法案では規定されていません。ここが批判される点のひとつです。
なぜ、規定されていないのか。それは議論がなされていないからではありません。むしろ、推進派の内部では、制度の具体的内容について、かなり充実した研究が積み重ねられてきています。