エンロン元幹部の入国、日本が拒否した理由

凶悪犯でもないのになぜなのか

実はファストウ氏は反省の弁を述べて回っているのではなく、CEOの期待に応えただけで、自分に非はないという立場を取り続けているとされる。その一方で服役中の身分証を今も大切に保管し、毎朝見つめているという情報も漏れ伝わっている。

歴史に残る一大粉飾事件の当事者が、自身の中で事件をどう整理しているのかを聞ける、貴重な場となるはずだった。だが上陸許可は下りず、その機会は失われた。こうなると、ACFEジャパン事務局は事前に上陸不許可を予測できなかったのか、という疑問もわく。

行政書士として日本の入国管理実務に長年携わった経験を持つ山脇康嗣弁護士は「日本の入管制度は法律構成自体が複雑なうえに、行政側の裁量の範囲が広い。条文に書いていない運用部分こそがノウハウで、この部分に長けているのは入管実務の経験が豊富な行政書士とごく一部の弁護士に限られる。それを知らない法律家では予測は不可能」という。

非明文部分こそが「肝」

講演が一度だけなら就労ビザは必要ない(写真 : ziggy / PIXTA)

外国人が日本に入国する際のルールは、出入国管理及び難民認定法(通称、入管法)に定められており、原則として在外の日本大使館が発行する査証、いわゆるビザが必要になる。つまり、ビザの発行権限は外務省傘下の在外日本大使館が握っている。

日本側が講演のために外国人を日本に招聘し、講演者が日本国内を何カ所も回って報酬を受け取るとき、講演活動は「業」と見なされ、講演者は就労ビザを取得しなければならない。

だが講演が1回だけであれば、「ショートステイ」扱いになり、報酬を受け取っても「業」とは見なされない。この場合は、日本の招いた側が招聘理由書や滞在予定表、日本滞在中の身元保証人の住民票や費用負担能力確認書などの必要書類をそろえ、講演者に送り、講演者が自国にある日本大使館にビザの申請手続をする。講演者がビザ免除国の国民であれば、ショートステイのビザは不要になる。

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