給付金を受けられず困窮した、自称"物売りの人" 「平等と公正は違う」超氷河期を経験した男性

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イラストは非営利団体IISC(Interaction Institute for Social Change)がホームページで公開している。企業のダイバーシティ政策の推進や障害者への合理的配慮、社会的マイノリティへの差別解消などの取り組みの際に「平等な支援では不十分。必要なのはそれぞれのニーズに合わせた公正な支援」という文脈の中で使われることが多い。

一方、インボイス制度は2023年にスタート。これにより、それまで免税事業者として消費税納税を免除されてきた売上高1000万円以下の事業者も、消費税を納めなければ、取引先の課税事業者が消費税控除を受けられなくなった。

ユウタさんのような個人事業主は課税事業者となって税を納めるか、免税事業者のままでいる代わりに取引を打ち切られるリスクを抱えるか、最悪の場合廃業といった厳しい選択を迫られることになる。このため制度導入をめぐっては多くの小規模事業者らが反対。オンライン署名サイト「change.org」では国内最多となる約54万筆の署名が集まった。

一方でインボイスに反対する事業者には「消費税は平等に納めるべきだ」といった批判も寄せられた。「着服」は言いすぎとしても、一部の事業者だけを免税にするのは不平等だというわけだ。

これに対し、ユウタさんは「何千万円も売り上げがある事業者と、僕らのような個人事業主とでは、(消費税率)10%の影響の大きさが違いますよね」と訴える。現行のインボイス制度は平等かもしれないが、公正ではない、と言いたいようだった。

“超氷河期”時代の就職

平等と公正――。振り返ると、ユウタさんの半生はイラストに描かれた木箱を得る機会に恵まれない局面が多かった。

アメリカの古着や雑貨に興味があったユウタさんはアパレル関係の専門学校に進んだ。しかし、卒業した2000年代はじめは就職氷河期の中でも“超氷河期”といわれた時期だった。希望した会社は書類選考で全滅。かろうじて地方都市の古着販売店にアルバイトとして採用されたが、そこは絵に描いたような悪質企業だった。

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