想定外だったのは子育て中だった次女の態度が急変したことだ。善明さんとの新しい生活を大事にしようとする早苗さんに対して、「孫よりもそっちのほうが大事なのね」と言い放ち、プレゼントを送ってもLINE一文程度しかお礼の言葉がない。孫よりも娘である次女のことが可愛かった早苗さんだが、今は諦めて連絡を絶っている。
「寂しいことですが、嫌な気持ちになるよりはいいと思っています。私は人生の新しいページを開いてしまったので仕方ないことなのかもしれません」
「ケンカもまた楽しい」と思える夫婦
ここまで聞いたあたりで、ランチをしながらのインタビュー場所であるレストランに善明さんが遅れて来てくれた。週一でボクササイズをしているという短髪で肌艶のいい男性だ。65歳までは役職定年もないメーカーの現役社員だという。到着して早々に、早苗さんの第一印象を聞いたところ、善明さんのほうは一目惚れだったようだ。
「目がクリクリしていて可愛い女性だなと思いました。そして、なんというか全体的に輝いて見えたんです。話すと、頭の回転が速くて賢い人なんだとわかりました。何でも言い合えるのでストレスはありません」
善明さんにも離婚歴があり、早苗さんよりも長い32年間の結婚生活だったという。しかし、ケンカをするとお互いに憎しみが残ってしまうような夫婦関係だった。
「今の妻とはケンカをしても大丈夫です。お互いにさらに相手のことを知り、関係性がよくなるためのプロセスなのだとわかっているので、ケンカもまた楽しいです」
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