全員「元会社員」ケーキ職人の平均年齢は75歳 1978年創業の味を守り続ける中目黒「ヨハン」

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桜の季節には長い行列ができ、普段も客足が絶えない人気店を支える9人の職人の平均年齢は75歳。左から北原さん、高野さん、真崎さん(撮影:佐々木仁)
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ここで働く以前に、チーズケーキを作ったことはありますか?

東京・中目黒の川沿いにある老舗のチーズケーキ専門店「ヨハン」の職人たちに質問すると、少し照れたような表情を浮かべる人もいれば、胸を張るようにして答える人もいた。

「ないですね~」「ありません!」

桜の季節には長い行列ができ、普段も客足が絶えない人気店を支える9人の職人の平均年齢は75歳。全員、企業で定年まで勤めあげた元会社員で、ケーキ作りは素人だった。

最高齢86歳、最年少64歳。スーツを脱いで、エプロンをかける。第二の人生を歩み始めた彼らに、どんな思いがあるのだろうか?

定年退職して9日後から勤務

ヨハンの朝は早い。始業は6時30分。職人のなかで最も店から離れた埼玉県川越市に住んでいる水谷雄一さんは、朝5時前に最寄り駅を出る電車に乗って、中目黒に向かう。

高校時代にバンド活動を始め、今も月に一度、仲間と集まって演奏する水谷さん(筆者撮影)

水谷さんは2024年2月、大学を卒業してから43年間勤めた化学メーカーの住友ベークライトを65歳で定年退職し、わずか9日後にはヨハンのキッチンに立っていた。

「会社の先輩がヨハンで働いていて、在職中から『退職したら、うちで働かないか?』と声をかけてくれたんです。会社では工場に3年、営業23年、購買を17年間担当しました。引退してブラブラしていてもしかたないし、やるならまったく違う仕事がしたいと思い、すぐに働き始めました」

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